息子が母の介護をするということ

私がホームヘルパーになって最初に担当することになったお宅は103歳のお婆さんでした。

 

お婆さんは寝たきりの生活で、86歳になる息子が介護を担当していました。

 

息子は独身のようで、背中が丸くなっていましたがまだまだ元気でした。

 

私の仕事は掃除と昼食と夕食の用意とお婆さんのオムツの交換です。

 

先輩に連れられ簡単な説明のあとに翌日から独りですべてやります。

 

しかし何回かオムツ交換の練習しただけで、いきなり一人で交換するのは大変でした。何にでもコツというものをつかむためには相当練習せねばなりません。

 

特に大便の始末なんて実践では教えられていません。

 

お婆さんは少し痴呆がはいっていましたが、完全にボケているわけではなく耳もよく聞こえるし歯もしっかりしています。。

 

私がもたもたオムツ交換をしていると「へたくそ!」と叱責されます。

 

若い頃はさぞかし気の強いかただったんでしょう。

 

昼食と夕食を作るといっても、いつも冷蔵庫にはほとんど食品が入っておらず途方にくれてしまいます。

 

「冷蔵庫に何も入っていませんがどうしましょう?」とたずねると 「何か買ってくる。」と言って近所のスーパーに買い物に行きキャベツと玉子と生イカ3匹を買ってきました。

 

生イカは今日のバーゲンだったようです。

 

ハテ?と思っていると「イカの煮付けと茶碗蒸しとお好み焼きを作ってくれ」 と言うのです。

 

キャベツと玉子だけで作ったお好み焼き(肉なし)は昼食に、イカと茶碗蒸しは夕食です。

 

週3回2時間の訪問ですが、日々こういう簡素な食事を作り続けても、お婆さんも息子も病気もせず元気です。

 

人間あんまり栄養のバランスとか考えなくても100歳まで生きていけるようです。

 

その中で私が気になったのはお婆さんが冬の間ずっとアンかの上に足を乗せていることです。

 

いくら「低温ヤケドするから足をアンかの上に乗せないように!」 と何度注意しても息子は聞き入れません。

 

次に訪問したらまた足をアンかに乗せています。

 

日誌にも「次の担当者は低温ヤケドに注意して欲しい」と何度も書きましたが無駄でした。

 

とうとうお婆さんの細い足はアンかのあたっていた場所に大きな深度ヤケドができてしまい医者をよぶ羽目になりました。

 

「医者は足を切らねば。。。」と言いますが、「まあ〜お歳ですからね〜」 と言葉をにごして包帯を捲いて帰っていきました。

 

いやはやすべてはお歳ですからで片付けられるなんて悲しいです。